Pirastro社製のプレーンガット弦Chorda(コルダ)
ついにプレーンガット弦に手を出してしまった。
ピラストロ社のコルダという弦。D線とG線を入手。
所感
見た目太い。出音も太い。
手触りはスベスベで引っかかりは無いのでポジション移動はスムーズ。
テンションは弱い。
サスティンはそこそこ長くて許容範囲。
デッドポイントな箇所もあってポジションのチョイスが難しい。
天然素材なので製品ごとのバラつきはあるみたいだな。
湿度や室温からの影響を受けやすく調律は不安定。
小まめにチューニングする必要がある。
出音
包み込むような豊満なサウンド。こういうの好きだな。
悪く言うとボワンとした締まりの無い音。
太くて丸めの出音でいい感じだけど、良い響きを意識して弾かないと抜けが悪い音になってしまう。
弦が太い分しっかり押さえないと鳴りも伸びも足りない感じになる。
D線は特にその傾向が強い。
弓で弾いてみた
弓が難しい。
いい感じで鳴るポイントの幅が狭いな、という感触。
弓を返すときに気を抜くと音が簡単にひっくり返ってキーキー鳴る。
ピチカートよりもセンシティブ。敏感な感じで表現力の幅は広い。その分難しい。
左手右手の基礎がしっかりしていないと安定的に良い音が出せない。
うまくいくと、まろやかで芳醇な響きで鳴るけど、
今の私の技術では博打要素が出てくる。肝心なところでキーって言わしてしまう。
ガット弦の中でもCHORDA弦は弓の難易度が高いらしい。
残りの弦は
今のところD線G線をコルダ弦にしてE線A線はフェイクガットのエヴァピラッツィのミディアムを張っている。
D線もエヴァピラッツィ張った方が楽はできると思う。
でも、この太いD線のファットな響きは魅力的なんだよな。
アンプで増幅したとき
8月にCHORDA弦に張り替えてから約1ヶ月が経過。2回ほど実戦投入している。
アンプや音響設備からボワンとした成分が増幅されて出てくるので出音の抜けるポイントを捜索中。
マイクとピエゾピックアップのブレンド具合とEQを調整しながら試行錯誤しているが、落とし所はまだ見えてこないな。
お手入れ
高温多湿な沖縄県在住なんで乾燥の心配は無いけど、
2〜3週間に1回くらいの頻度でベビーオイルを塗布している。
適度な保湿と、ささくれ防止にもなるらしい。
それでも、ササクレは発生するのでよく切れる爪切りでカットしている。
引っ張って引きちぎるのはNG。
G線の繊維質が剥がれて白いササクレになっている。
気がついた時に小まめにカットしている。
ニッパー型の爪切りが使いやすい。
ベビーオイルは小瓶の中に入れた脱脂綿(コットン)にタップリと染み込ませている。
ティッシュなどをベビーオイルを含んだ脱脂綿へ接触させると、
多過ぎず少な過ぎず適量をティッシュへ染み込ませることができて無駄が無い。
ベビーオイルは潤いを失いつつある50代おっさんの指先に塗り込んでも良い。
まとめてみる
ものすごく好きな音なんだけど上級者向けって感じ、今の私では力不足。
でも試行錯誤しながらも、いい感じの響きが出せた時が快感で中毒性が高い。
すっかりガット弦の魅力にハマってしまった。
楽器を触る時間が増えたな。
小遣いが貯まったらA線E線も張り替えるつもり。
2022年11月9日追記
張り替えて約3ヶ月。
弦が馴染んできたのと私自身が慣れてきたこともあり、かなり良い感じになってきた。
1950年代の録音で聴けるコントラバスのサウンドが好きな人にはたまらない音だな。
テナーサックスの先輩から「懐かしい音がするよ良いね〜」と言われて調子に乗っている。
2022年11月下旬にCHORDA(コルダ)弦のEA線を張り替えた
開封してびっくり。ギター弦のようなラウンドワウンドだった。
古いバロックスタイルな弦はこういうものらしい。
素材は銀のラウンド線を巻き付けているみたい。
かなり太いのでテイルピースの穴とブリッジの溝を拡張してもらった。
ペグ側の穴は拡張無しでいけた。
サイズ的な太さのバランスは良くなった。
テンションはEVAH PIRAZZI(エヴァピラッツィ)のミディアムよりも張りは少し強いかも。
DG線のプレーンガット弦の緩めなテンションとのバランスはあまり良く無い印象。
また、左手のポジション移動の時に「きゅっきゅっ」とギターみたいなフィンガーノイズが出るようになった。
サスティーンは長い。良く伸びる。
E線Bあたりから高い音が上手く鳴らないし音抜けが良く無い。これは馴染んでくれば良くなりそうな感触ではある。
ただし、これだけ太いガット弦だとブレークインも時間が掛かりそうな予感がする。
弓で弾くとラウンドワウンドの巻き線に弓の毛が捕まって弓の上下の移動で抵抗感が出てくる。
色々と難しい。。。
本番で使ってみた
張り替えて2週間ほど、ブレークインもそこそこな状態で本番で使ってみた。
サウンドはガット弦の属性だけど少し明るめ。音抜けは良い。パンチもある。悪くは無い。
ただし、物理的な太さと強めなテンションもあって左手はだいぶ辛い。
結局のところEVAH PIRAZZI弦(エヴァピラッツィ)に戻した
フィンガーノイズがどうにも気になるのと左手の辛さに耐えられなくて1ヶ月ほどでリタイアしてしまった。。。
「キュッキュッ」と言うのが無ければもう少し頑張れたかもしれない。
でもEVAH弦もガット弦と合わせると若干だけど違和感があって気になるのよね。。。
2023年1月3日追記 EA線はOLIV弦(オリーブ)に張り替えた
OLIV弦(オリーブ)のG線は巻き線が2回もほつれて財布にダメージを食らったが、
D線はまだ使える状態で保管している。
巻き線のほつれは弦が細いほど、ほつれやすいのではないかと勝手に想像している。
悩んだ挙句、OLIVのEA線を注文した。年末に到着していたが時間が無くて放置していた。
物理的な太さはCHORDA弦(コルダ)より少し細いが、
E線だけはテイルピース側の緑色の飾り糸のあたりがCHORDAよりも太い。
世話になっている工房も正月休みなのでテイルピースのE線穴をヤスリで少し削って拡張した。
DG線のガット弦とサイズ的な太さも近くなるので違和感が少ない。
テンションはEVHA PIRAZZIミディアムとライトの中間くらいかな。
普通にフラットワウンド弦なので左手の感触も違和感が無く弾きやすい。
サウンドは重心の低い太くてダークな渋い音。
サスティーンはそこそこあるのだが、弾いた直後のアタックの減衰が早いので音が伸びている部分の音量が小さくなる。
こういう特性もあって相対的にサスティーンが短いように感じる。
SPIROCORE弦(スピロコア)のようなロングサスティーンが好きな人は辛いと感じると思う。
しばらくは様子見だが感触は良い。