サウンドハウス

楽器と機材

BOSS AD-10 アコースティックプリアンプを使ってみた

2023年4月24日

アコースティックギター用プリアンプ

BOSS AD-10(ボス エーディーテン)たぶん、こう読むはず。

アコースティックギター用だけど、

ピエゾピックアップを取付けたウッドベース・コントラバスで使っている。

ベースで使っている人を見たことないけど、割とイケる。

使い勝手はアナログ的だけどマルチエフェクターっぽい使い方もできる多機能プリアンプ。

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楽器とかの組み合わせ

自前の楽器は茶木コントラバス。

ピックアップはアンダーウッド。

シールドケーブルはベルデン。

アンプはCUBE Street EX。

出演している店でお借りする楽器は鈴木ヴァイオリン社製のコントラバス。

店のアンプはMark bass(マークベース)。

良いところ

インプットインピーダンスが10MΩ(メガオーム)と高い

楽器側と機器側でインピーダンス(抵抗値)の釣り合いを取る事はとてもだいじ。

楽器側はローインピーダンスで出力して、機器側はハイインピーダンスで受け止める。

音響界隈でよく言われている「ロー出しハイ受け」の状況が簡単に構築できるな。

AD-10を通過させるだけで音の体幹が強化されてマッチョでたくましい出音になる。

太くて抜けの良い出音になるのでサウンドチェックが素早く完了する。

入出力端子が豊富

入力が2系統あってイコライザーも個別に設定できる。

出力も充実していてアンプへ送りつつ音響卓へも送信できる。

外部エフェクターを接続できるセンド・リターンも装備されているな。

入力インジケーターランプが便利

入力レベルの調整が楽ちん。

入力信号の強さに比例して緑色~橙色~赤色と変化する。

いちばん強く弾いたときに赤色になるかならないかギリギリで調整すればOK。

電池駆動が可能

単三電池6本で約6時間駆動。十分だな。

外部電源を確保しなくてもいいのは非常にありがたい。

充電式の電池を使っている。

電池駆動可能なCUBEアンプと組み合わせれば、

電力会社に依存しないスタンドアローンな演奏環境を構築できる。

アナログな操作感

マルチエフェクターが苦手な私でも使えてる。

基本的な機能は表に出ているツマミとボタンで操作可能。

ツマミが多い割に操作は簡単。使わない機能は触らなければOK。

操作したツマミの状況がひと目で確認できるアナログな操作感が良い。

中身的にはマルチエフェクターなのでフットスイッチの機能を変更したり、

設定を記憶させて呼び出したりもできる。

フットスイッチに関しては機能を変更したほうが良いかもしれない。

標準の設定だとミュート以外は使わない機能が割り当てられている。

不満なところ

う〜ん重い

1.3kg。荷物を減らしたいベースプレイヤーにとってこの重量はキツイ。

購入の際も最後まで悩んだところ。

サイズ的にはギリギリかな。

ツマミが多い分この大きさは仕方ないかも。

ベース用に最適化されていない

イコライザーの効き具合がちょっと足りない感触。

ベースでは出番が無い機能もある。

ローカットとミドルフリケンシーコントロールがボタン式で使い辛い

ボタン式は押すと数値がひとつずつ動くから細かく追い込む時はいいが、

現場で素早く直感的に変更したい時にはツマミ式の方が使い勝手が良い。

表示窓が小さい

2桁のディスプレイは数値以外の表示はホントに意味不明。

周波数も省略されて表示されるから脳内変換を迫られる。

わかりにくくて有名な説明書が欠かせない。

割といい値段してるのだからここは頑張って液晶画面くらいは装備してほしかったな。

このチープなディスプレイが本機の良いところ全てを台無しにしているのは間違いない。

説明不足な説明書

マルチエフェクター的な使い方を説明する「進んだ使い方」ページ以降は非常に分かりにくい。

ディスプレイが駄目な事もあって、

「進んだ使い方」を実行すると設定した内容が見えなくなり、ますます訳が分からなくなる。

仕様書も内容が薄い。せめてEQの設定周波数くらいは記載して欲しかったな。

コントロールの感想

ローカット

周波数を10Hz単位で10Hz〜990Hzの範囲で設定できる。

設定した数値より低い方向の周波数をカットしてくれる。

ウッドベース・コントラバスをアンプに繋いでボリュームを上げると、

「ブォーン」と唸る低音でハウリングを起こしたり、

低い周波数で床が共鳴して音程が聴き取り辛くなることがあるが、

そんな状況でローカットをオンにするとハウリングも共鳴も止まる。

そして低音域がスッキリした印象になって音程も聴き取りやすくなる。

重低音を出したいベーシストにとってローカットは感覚的に抵抗感があるが、

一般的な人間の可聴周波数の低い方は20Hzまでらしいので、

その付近で調整すれば出音への影響は少ないと思う。

ベースアンプにもよるが、

30Hz〜40Hzあたりまで設定数値を上げても割とイケる。

確かE弦解放音の周波数は40Hzあたりだったはず(調査中)。

しかし、実際に耳へ届いて認識している音は倍音の80Hz付近の周波数である。

ということを何かで読んだ記憶がある。

この辺りの情報はもっと調べる必要があるな。

という事で意外とウッドベース・コントラバスにローカット機能は有効なんだな。

アンプの特性でも結果は変わるので色々とお試し中。

電池駆動のCUBE street EXアンプの場合はローカットは30Hzで低い周波数に設定した方が出音は良いな。

イコライザー

もともとベース用の機材ではないので少し微妙なかかり具合。基本的にカット方向で使っている。

先にベースアンプ側で調整してからプリアンプ側で微調整する手順で今のところ上手くいっているな。

ベースアンプ側のイコライザーと周波数がカブらないので調整可能な周波数が拡大する事にはなる。

ローカットを調整してからBASS EQをブーストすると低い周波数帯が引き締まった聞こえ方になる。

周波数変更のやり方がちょっと微妙

ローカットは10Hzから990Hzまでを10Hzごとに設定できるが、990Hzもいらない。

30Hz、40Hz、80Hz、120Hz、160Hz、200Hzあたりを段階的に指定できる方が使いやすいと思う。

ミドルフリケンシーは、

200Hz、250Hz、320Hz、400Hz、500Hz、630Hz、800Hz、1.0kHz、1.3kHz、1.6Hz、2.0kHz、2.5kHz、3.2kHz、4.0kHz、5.0kHz、

と15段階に決められた数値を選択する方式になっている。

低い周波数をもう少し拡張してローミッド、ハイミッドで分けた方が、

こだわった音作りができてさらに良くなる。

そして、ミドルフリケンシーはツマミ操作にした方が使い勝手は良いと思う。

アンチフィードバック

優秀だけど状況によっては不要。

ハウリングしている周波数を自動検出してくれる。

ハウリングしやすい周波数は楽器の美味しい響きのところでもあるから掛け過ぎは要注意。

音のうまみ成分が薄くなってしまう。ツマミは8〜9時付近で調整している。

ツマミの下にある2個のボタンはそれぞれ別の周波数を設定できる。

これは結構強力に効くのでベースの音が薄い感じになってしまう。通常は使わないかな。

2個のボタンを同時押しするとツマミとは別にハウリングしている周波数を自動検出して設定できるみたいだな。

この機能は実践では試せていない。使ってみたら追記する。

でも、そこまでハウリングするような音量での演奏となると、

音響エンジニアさんが居て対応してくれることが多いから、

出番はほぼ無いかもしれない。

アコースティックレゾナンス

優秀。これが主役かもしれない。

OFF+ノーマル+ワイド+ブライトを選択できる。ワイドを選択して強め2〜3時付近に設定している。

この機能をONにするだけで出音に艶と奥行を加えてくれる。いい感じ。

響きがデッドな環境で音抜けをより良くしたい時はブライトを選択すると良いみたい。

ブライトはかなり高い周波数帯がブーストされるみたいで強めにすると耳障りな感じになる。

普段はノーマルかワイドがいい感じだな。

常時ON。

コンプレッサー

OFF+ソフト+ハードを選択できる。

操作ツマミはひとつでわかりやすい。

ソフトを選択して強め1〜3時付近に設定している。

音の凸凹を滑らかに整えてくれる。

ダイナミックレンジを狭めることで音量を上げても歪んだりしない。

常時ON。

ディレイ/コーラス

使っていない。

アンビエンス

リバーブの一種だな。OFF+ショート+ロングを選択できる。

ショートを選択してツマミは弱め9時あたりに設定。

アコースティックな箱鳴り感を再現してくれるみたいだな。

掛けすぎると出音の芯がぼやけた感じになる。

状況によっては不要。

XLRとフォーンの出力先でアンビエンスの有効無効をボタンひとつで設定できる。

音響へ送るXLR出力はアンビエンスOFF、

モニター用アンプへのフォーン出力はアンビエンスONといった具合にできる。優秀。

ブーストスイッチ

使っていない。

音量アップ側にもダウン側にも設定できるみたいだな。

なのでブーストスイッチをONにすると出力を下げる使い方もできる。

ん〜〜自由な感じ。

使うならブーストした時の最大値で歪みが出ないように入力ゲインを調整する必要があるな。

ルーパー

練習中。

FX LOOP

Send-Return端子に接続した外部エフェクターのオン/オフ切り替えができる。

「EXIT」ボタンと「TUNER&MUTE」ペダルを同時押しした後に「FX LOOP」ボタンを押すと、

位相(フェイズ)を切り替える事ができる。ちょっと分かりにくい。

位相の切り替えは割と頻繁に行うから、専用のボタンを割り当てて欲しかったな。

チューナー

無くてもいいがあったらあったで便利だな。

周りで他の楽器が大きめ音量で鳴っていてもチューニングできるのは地味に便利。

ただし表示方法はう○こ。分かりにくい上に暗いステージでビカビカ光って煩わしい。

ミュートスイッチ機能は便利だな。

入力インピーダンスは大事

AD-10のような入力インピーダンスが大きいプリアンプを中継した方が、

ベースアンプへピエゾピックアップを直挿しするよりは確実に良い音になる。

楽器側にプリアンプが搭載されていない場合は特にそういう傾向になる。

これは間違いない。

多くのベースアンプはピエゾピックアップ直挿しでの使用を想定していないから仕方ない事なんだよな。

ベース用でなくても割といける

プリアンプ側がベース用に最適化されていなくても、

入力インピーダンスが大きければ出音がいい感じにたくましくなる。

音抜けも良くなってアンサンブルでも埋もれずに聞こえる音になるな。

最近、別のプリアンプもお試し中なのだが、

これも入力インピーダンスが10MΩと数値が大きいから出音は良い感じ。

入力インピーダンスの数値

経験則だがベースアンプの入力インピーダンスが1MΩあればピエゾピックアップ直挿ししてもギリいけるかな。

アンプ・プリアンプの仕様書は入力インピーダンスを必ずチェックだな。

目安としては3MΩ以上は必要と思う。10MΩあれば間違いない。

中低域の出音が確実に豊かになる。

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アコースティックな楽器の音量を電気的に増幅する際に欲しくなる機能は全て装備されている。

どんな状況でも対応できる懐の深さがある多機能プリアンプだな。

外部エフェクトを接続できたりと拡張性もあるがコレ1台で間に合うな。

特にアコースティックレゾナンスとコンプレッサーがいい感じ。

この2個のツマミで基本的な出音を決めてから、

イコライザーを使って出過ぎている周波数帯をカット方向で調整する使い方がいいみたいだな。

ベース用に最適化されていないにも関わらず中低域はタップリと出る。

ピエゾピックアップとのインピーダンスのバランスが取れていれば自然とこうなるのかもしれない。

中身はマルチエフェクターだけど、操作したツマミの状況が丸見えのアナログな操作感も良い。

重たい荷物が増えるってところが辛いところなんだけど、

出音がいいので頑張って持ち運びしている。

ベースでは使用しない機能を取り除いてもっと軽量化してくれるとありがたいな。

新型にバージョンアップするときはディスプレイをもっと良い物にしてほしい。

この駄目なディスプレイが本機の良いところ全てを台無しにしている。

BOSS ( ボス ) / AD-10 Acoustic Preamp BOSS ( ボス ) / AD-10 Acoustic Preamp

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